(19.3.6)これは無理筋だ 駅前自転車駐輪場
碁や将棋の世界でよく使われる用語に「無理筋」という言葉がある。誰が見ても成功しそうもない手筋を無理やり継続しているよう場合に使用される。プロはほとんどこうした手筋を使わない。素人で強引なタイプの人がこの手筋を使う。
私が、「無理筋」と思っているのは、ジャスコの駅前の駐輪場の整備についてである。昨今ジャスコの前の街路灯に「鎌取駅第6自転車駐車場利用申し込みのお知らせ」という、たて看板が立てられている。3月5日から12日の間が、駐輪場の利用申し込み期間で、利用台数は395台だそうだ。
私が気にしたのは、登録台数395台という数である。現在ジャスコの前に止めてある自転車の数はどう見ても395台より多い。私は試みに数えてみた。5日の午後4時ごろの台数であるから、サラリーマンが通勤に使用している数と、ジャスコのお客の数にほぼ等しい。
取りあえず、片側半分を数えてみたが、数が400台になったところで止めた。片側だけでも400台以上ある。両方だと最低で800台、数え切れなかった分を推定で入れると約1000台の自転車が止めてあった。
「うぅーん、これは数が合わない」
駐輪場を使用できなくなった約600台の自転車はどうなるのか。私の経験でも分かるが、通勤に自転車を利用する最大の理由は時間短縮のためである。歩きより確実に3倍は早い。サラリーマンは時間に追われている。どう考えても自転車通勤を徒歩に変える人は少ない。
「えぇ、何でここに止めちゃいけないの」
「ここは放置自転車の駐車禁止区域ですので、止める場合は正式な手続きをとってください」
「何いってんの、これは放置自転車じゃないよ。れっきとした私の自転車だ」
「いえ、条例で放置自転車ということになったので」
「そんなこと勝手に決められちゃ困るよ。あんた辞書を見たことないの。私が放置してないのだから放置自転車じゃない」
喧嘩をしているのが目に見えるようだ。
NHK千葉放送局 19年4月1日 朝のニュース
「ここ鎌取駅頭では、前代未聞の現象が発生しています。通勤客全員が、片手に広辞苑を持ち、市の担当者と口角泡を飛ばし激論をしています。乗客の1人に聞いてみました。
『市はおかしい。放置という言葉を勝手に拡大解釈した。これでは広辞苑がかわいそうだ。広辞苑が修正されない限り、駐輪場はみとめられない』。鎌取駅頭から生中継でした。」
それにしてもなぜ395台なのかと考えてみた。おそらく駐輪場に設置される駐輪機について、「Xcmの幅をあけて設置」というような基準があり、設置場所との関係で、計算上そうなったのだと思う。
現在行政が自転車対策で悩んでいるのはよく知っている。おゆみ野四季の道にも「盗難にあい、その結果放置されている自転車」が数多くあるのはこのブログでも紹介している。回収は緑土木事務所が行っているが、その人件費だけでも馬鹿にならない。
だが、しかしそれでもこの395台という数字は実態をあまりに無視している。行政側がいくら熱心に放置自転車の追放を叫んでも、禁止区域以外に自転車が止められるのは確実だ。今はジャスコの前だけだが、今後は四季の道の禁止区域以外の場所に自転車が移動するだけだ。
私は、この駐輪場対策はまったく「無理筋」だと思う。実態をあまりに無視した対策は、結局守られることはない。
(19.3.9追加)
I さんからジャスコが別途駐輪場を整備している話を聞いた。見てみると確かにジャスコも駐輪場を作っている。2時間までは無料だが、それ以上は有料とするらしい。
さすがにジャスコはお客のことをよく考えている。公的な駐輪場だけでは不足することを知っていた。
ジャスコに今後も自転車でいけそうだと分かってほっとした。ただ、現状では何台分整備するのか分からない。しばらく様子を見ておこう。
ただし通勤客の駐輪場については問題が残されたままだと思う。
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