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地区の守り人へのインタビュー 家庭相談員

第1回 家庭相談員

 夏の陽射がまだまだ厳しい8月26日の午後、緑保健福祉センター家庭相談員Kさんを訪ね、お話しを伺いました。

Q. どんなお仕事ですか。
A. 緑区の0から18才未満の児童への虐待、親子関係、児童の障害、非行、不登校、さらには健康の問題まで、児童に関する相談は何でも聴きます。1年間に100~150件程の相談があり、そのうちの多くがお母さんからの電話です。件数にここ数年、変化はありません。

Q. 緑区には何人の家庭相談員がいるのですか。
A. 一人です。千葉市の非常勤職員です。緑保健福祉センター1階にある家庭児童相談室で働いています。千葉市では各区に一人配置しています。市の児童相談所、学校や保育園等のほか、各専門機関や地域の民生委員・主任児童相談員の皆さんと連携し、子ども達と家庭を見守っています。

Q. この仕事に就いて何年ですか。
A. 8年目に入りました。本当に様々な相談があります。1時間を超えるお電話も多く、お話しを伺う中で気持ちを落ち着けてもらえれば、と思います。特におゆみ野の新興地区では、近所付き合いが難しいと感じている人も多いような気がします。そこで感じたストレスを多少なりとも発散できる場として利用していただければ、と思います。

 電話以外にも直接センターへ来ていただいたり、ご自宅を訪問してお話しを伺うケースもあります。中にはこの職に就いて以来現在までずっとお付き合いしている方もいらっしゃいます。
 家庭の経済面に関わる問題は、センターのそれぞれの担当(生活保護や貸付等)スタッフに対応を依頼します。相談の中には背景が複雑なケースもあるのでいろいろな場面を想定しながら話を進めて行きます。子どもの問題は、結局大人の問題であると感じます。

Q. おゆみ野地区の相談に感じていることをお話しください。
A. 「まずは“私”。“私”は常に“私”らしくいたい。“私”は凄く頑張っている。でも子育ては思い通りにならないし、とても大変。私が困っていることは誰かが助けてくれるのが当然でしょう!?ただ私が困っていることを他の人に知られたくない・・・。」こんな雰囲気が漂っているのかな、と感じます。

 様々な分野で“子育て支援”が声高に叫ばれる一方、親としての自分たちの責任や義務、努力をどう考えていくのか、現実との間で難しい問題です。また、子育てに一生懸命であるが故に学校への不信感をあらわにしてしまう。不安や疑問を共有したり確認し合ったり、という人間関係が希薄なため、全て自分で抱え込まなければならなくなってしまう。せっかく子ども達のことを真剣に考えて何かしなければ、と思っているのにうまく進まない。こんな状況があちこちで繰り返されているのでは、と思います。

 人、組織、システムと、何一つ完璧なものはありません。足りない部分はお互いに助け合うしかない。人とつながっていくことでまずそれに気づくことが大切です。

Q. 家庭児童相談室に関係する新しい取り組みがありますか。
A. はい。8月に千葉市で要保護児童対策地域協議会が設立されました。平成17年2月14日に厚生労働省から都道府県知事、政令指定都市市長あてに発出された「要保護児童対策地域協議会設置・運営指針について」に基づく対応がようやく実現しました。

 児童問題の解決に向けて個別ケースごとに組織の枠を超えて関係する機関(児童福祉、保健医療、教育、警察、司法、人権擁護、NPO、ボランティアなど)が連携する。各区に実務者会議を設置し保健福祉サービス課が事務局となります。そこで区内の全ケースの対応の進捗状況を把握します。個別のケースについては別途関係者が集まり、ネットワークを組んで具体的に関わっていきます。地域の様々な関係機関の方々と連携して、支援を必要とする子どもとその家庭に必要なサービスを提供し、問題の改善に向けた取り組みがスタートします。

Q. 大変期待したい取り組みですが、事務局として不安はありませんか
A. 事務局と言っても、現在、緑区家庭児童相談室の担当は相談員一人です。週4日間の非常勤の限られた時間の中で余裕はありません。事務局として会議の案内や準備、会議当日の対応、会議後の議事録作成等、事務量が増えることが予想されますが、具体的な運営方法については検討中です。せっかく立ち上がった取り組みなので是非有効に機能させたいですね。

Q. ストレスの多いお仕事ですが、パワーの源は何ですか
A. 私自身も母親として社会のいろいろな姿に接することで、自分の子育ての参考になることが多くありました。「大人として、親としてどう生きるか」ということを常に考えさせられることで関わり方や会話の内容が変わりました。

 また、関わってきた人達が自分の“これから”を自分で決めて一歩踏み出そうとする時、私自身も勇気が湧いてくるような感覚を覚えます。人を変えようとか、何かしてあげるということではなく、「自分には何が出来るか」に徹して自分なりの達成感を味わうところから“力”が出てくるのかと思います。

 でも、気分転換も必要です。仕事とは全く違う分野の活動をすることも、私にとっては大切なことです。普段仕事では個人や地域の様々な、細部にわたる深い部分に入っていくことが多いので、プライベートでは広い世界に目を向け、視野が広がる人やものとの関わりを楽しんでいます。

 今は“AFS”という財団法人の京葉支部ボランティアをしています。日本と世界各国の高校生の交換留学を通して世界平和を目指すことを活動の柱にしている団体で、受け入れと派遣が支部活動(ボランティア)の中心ですが、そこでのいろいろな人との出会いや交流が、相談員としての仕事にも、また、まだまだ成長していきたい自分にも、良い影響とパワーを与えてくれていることは間違いありません。

取材の感想
 穏やかな町並みの陰には多様で複雑な人間模様がある。近所付き合い、周囲とのコミュニケーションを保てない家族。そんな、よろず相談を一身で受け止めるKさん。私たちの暮らしを支える、正しく守り人の一人です。

 千葉市では家庭相談員は各区非常勤職員一人であり、増員など改善計画はない。要保護児童対策地域協議会が設立され組織の枠を超えて個別事例に対応する仕組みができつつあることは喜ばしい。しかし、現場を守るKさんたち家庭相談員の負担増となることには反対である。

 熊谷市長は家庭相談員の仕事の現場も良く見聞し、適切な対応を取ってほしい。どんなにすばらしい仕組みでも作っただけでは不十分である。運用し、その実効性を高めていかなければならない。目的、目標は明確か。いつ、どこまで達成できたのか。その効果はどうなのか。少なくても半年に1回は点検が必要だろう。
 機能しない仕組みが放置されたり、税金の垂れ流しが無責任に続くケースは後を絶たない。この点検は地域ごとに行われ、その地域に必要な仕組みが改善され維持され続けて行けば良いと感じる。

 折角立ち上げる地域協議会である、緑区での少年非行の現状を改善するためにも、機能させなければならない組織だ。大人が変われば、子どもも変わる。大人へのアプローチに期待している。
 その中で、実務を懸命に担っている家庭相談員の負担ばかりを拡大させない対応(事務員の補充など)をお願いしたい。私も他人事ではなく地域の一員として、前向きに見守り、家族も含めて何らかの形でお手伝いできればと感じた。

 世界の人々との交流を持ち、広い視野で子育てを見つめるKさんの眼差しは厳しく、やさしい。いつか(近い将来)再び、お話しを伺うことをお願いしてインタビューを終えた。

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