(21.7.31) 二度目の汗
定年になってから、我が家の掃除は、私の領分になってしまった。
妻が腰痛を訴え、医者に通うようになったころからかも知れない。
ともかく。毎月1回、住むには狭いが、掃除をするには広過ぎる我が家の掃除を仰せつかっている。
1階には、10畳ほどのリビング、6畳の和室、4畳ほどの台所、それにトイレがある。2階は、階段と10畳の和室と、4畳半の洋間が2室、そして風呂がある。
リビングは絨毯が敷いてあるが、掃除機を掛けた後、絨毯のゴミを取る「コロコロ」というものを掛ける。
接着剤のついた円筒のこの用具は、絨毯のゴミを面白いように付けるので、たちどころに粘着力が落ちてしまう。そこで、ゴミが付着した部分を破り捨てて、新たな面でまた転がすのである。
このコロコロ、何度掛けてもゴミが付いてくる。
髪の毛だったり、綿毛のようなものだったり、掃除機では拾いきれない固形のゴミだったり、何度も何度も掛けるが、よくもまあこんなに付いてくるものだと呆れてしまう。こうして4~5回ほど交換をするとやっと付着物が無くなってくる。
考えるに、我が家の絨毯の何と汚い代物であるかと言うことに、毎回驚かされる。
絨毯には、目立たないゴミが、掃除機ではとれない数多のゴミがこびりついているのだ。私は、この部屋の掃除が終わると、いつもホッとするのである。
畳部屋は、掃除機を2度ほど掛ければいいだけだし、その他の部屋はそんなに汚れは無い。
この暑さである。9時から始めて、終わったのは午後2時近く、汗びっしょりになっていた。
「泊まり客でも来ようものなら、どこに寝床を用意しようかと悩む家の狭さだが、掃除をするには広すぎる」を掃除の度に実感しながら、汗している。
風呂で汗を流した後の、夕食はことの外うまかった。
妻の料理がうまかったわけではないが、空腹は、何にも増して食事の旨さを増すようだ。
蛇足だが、自然界の動物は、餌がいつも手に入る訳ではなく、何日間も空腹を抱えて我慢をしなければならないときもある。空腹に耐えて手にした餌の何とうまいことか、と思うのだ。
さて、夕食後の話である。
9時過ぎ、部屋の明かりを消して再度風呂に入って、リビングに戻ってみるとどうだ、ゴキブリが3匹運動会をしている。スリッパを片手に、一人と3匹の生死をかけた闘いが始まった。やっとの思いで、2匹はあの世に逝ってもらったが残りの1匹は取り逃がしてしまった。
大掃除をしたその夜に、何処に隠れていたのかこの野郎、こともあろうに運動会をしやがって、怒り心頭。また大汗をかいてしまった。
2度目の汗、この汗は何と表現したらいいのだろうか?

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